北海道の沼巡り・湿原の花

少し間が空きましたが、北海道の山旅の最終回です。行程を前倒しにし、最後は登山ではなく沼巡りのコースを見つけて散策にしました。が、これが思いのほか良くて、高山植物を堪能したあとに湿原の花にまで出会えて、どうにか持ったお天気のなかで北海道の自然をそれなりに満喫できました。

 

歩き始めは「大雪ヒグマ情報センター」という建物内から沼巡りコースに入るようになっています。ここはそれこそ冗談ではなくヒグマの出没多発地帯で、係の方が見回りに出て、痕跡が顕著な時には入山禁止にするくらいです。当日も、写真に写っている向こうの山の雪渓上に数日間続けてヒグマが観察されているとの事で途中で通行止めもあり、雨や雪解け水でコース水没箇所もあることから、この「緑沼」ピストンを楽しみました。入山、下山時にはセンターの名簿に氏名と時刻を記載し、安全を確認します。

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北海道の山旅 大雪山・黒岳

アポイ岳登山の翌日は休養を兼ねて移動日の予定でしたが、天気予報を見ると行程“前半勝負”の様子。そこで前倒しし、一気にアポイ岳下山後に長距離移動した道央の糠平温泉から、翌朝再び一気に層雲峡に入り黒岳登山(と言ってもロープウェイとリフト利用ですが)をすることにしました。

これがまあ予想的中でガスが巻くなかとしても、どうにか山の姿も垣間見れる山行となり大雪山系の雄大さを黒岳山頂にて感じることができました。ただ、すっきりと晴れることはなく、上の写真のようにモアモアと湧いては覆うガスにてスケッチが思うように出来ず不完全燃焼気味。石室方面へのピストンは諦め、それでも何とか根性で?神眼で?真っ白になる前にどうにか四枚横続きの着彩のラフ・スケッチを描きました。

 

しかし予想以上に花が溢れていたのには大感激! 眺望が今ひとつでありましたが、その分美しい花々に、それでなくても遅い足が止まりがちでありました。下記のフォト・ギャラリーにて花々を御覧ください。

 

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北海道の山旅・アポイ岳

念願だった北海道の夏山山行に行ってきました。

まずは花の百名山でもあるアポイ岳。標高は810メートルほどの低山ですが、襟裳岬近くの海岸べりに位置するこの山は「かんらん岩※」という特殊な地層で成り立っており、海近くの霧深い気候と岩石の特殊性で、高山帯と同じような植生が発達している不思議な山なのです。

この写真は山麓の樹林帯や急登をこなした後に出る見晴らしの良い「馬の背」と云う場所で、ここで正面にアポイ岳山頂を見ることができます。まだ標高600mそこそこの場所なのに、ハイマツがすでに繁茂しています。考えてみれば、いつも歩いている神奈川県の西山・華厳山山頂と同じ位の標高です。驚くばかり!

 

※かんらん岩とは地下深くのマントルがそのまま固まったもので、アポイ岳のものはとても“新鮮”だそうです。マントルが上がってくる過程で水と反応すると「蛇紋岩」になるとのことで、どちらにしても両者とも美しい高山植物を育てる条件をもっていて「花の百名山」はこの地質が多いようですね。(ex.至仏山、早池峰山など)

※アポイ岳はジオパークに指定されています。詳細は様似町の「アポイ岳ジオパーク」を御覧ください。

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北海道・道央から道南への旅 その2

北海道に入って後半。あまり天気に恵まれなかった美瑛から旭川に戻り、そこから北海道を南下する鉄旅開始です。

 

写真は4日目の朝、倶知安から乗車した普通の先頭車両から撮ったものですが、ちょうど空が朝焼けで染まり美しい光景でした。吹雪などでJR北海道の列車が遅延や運休もせず、順調に運行してくれるだけでもありがたく思いました。

一日中列車で移動しているという後半の旅でしたが、まったく飽きません。「車窓の眺めは贅沢な小説の如し」と誰かが言っていたとか…。本当にその通りで、通勤電車では読書がはかどりますが、旅の列車内では本はいっさい読みません。「本を読むなんてもったいない」そういう時間です。

 

今回は旭川〜富良野(富良野線)、富良野〜滝川(根室本線)、滝川〜札幌〜小樽〜倶知安〜長万部〜函館(函館本線)、函館〜木古内(道南いさりび鉄道)、木古内〜東京(北海道新幹線)を途中 倶知安に一泊して細かく乗り継ぎ移動しました。物好きなことです。

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北海道・道央の旅その1

恒例「大人の休日パス」利用で厳冬期の北海道に出かけました。今回は初めての道央、美瑛に照準をあわせました。これは昨年9月に計画したものの直前の大地震と全道ブラックアウトでやむなく中止にした旅のリベンジです。が、自然は晩夏から白銀の世界と全く様相を変えたなかでの計画、無雪期とちがい色々な制約付きとなります。美瑛の広大な丘からの景観を描く目的なのでメインの滞在中二日間はフルにレンタカーを活用、けれど今回は天候に恵まれず思惑通りに山は姿を見せてくれません。

 

それでも横に広がる構図の白い世界は魅力的で、モノトーンに近い世界を水彩で如何にしてえがくか・・・勉強になります。ただ冬期は除雪している場所以外には移動も立ち入ることもできず、運転自体にも気を使うし、絵を描けるところまでこぎつけるのに苦労しました。(写真は「新栄の丘」と言うところ)

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北海道・東大雪の旅 終章

然別湖でのスノートレッキングを一日楽しんだ後は、ガイドの阿久澤さんに宿泊先の鹿追町まで送っていただき、その帰り道に「絶景ポイント」に案内してもらいました。ちょうど雲も晴れ、今日歩いていた山が平原の向こうに美しく見えます。地元では“夫婦山”とも呼ばれている西と東のヌプカウシヌプリ、そしてそこには思いがけない石碑もあったのです。登山家の大島亮吉がこの地を訪ねた時に山名の意味を地元の人から「平原の上に聳ゆる山」と聞いたとか。北海道の旅の締めくくりに大島亮吉にまつわる石碑に出会い、その山を眺めることが出来たのは最高のエンディングでした。

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北海道・東大雪の旅Ⅳ

 雪の華です。これも前出のKさんから送っていただいた一枚です。

滞在中、自然のなかで過ごせる最後の日「ボレアル・フォレスト」と云うネイチャーガイドさんをお願いして終日、然別湖周辺のスノートレッキングをしました。美しい雪の造形や、動物たちの痕跡の数々、また暴風や台風被害で痛めつけられた森の姿などなど、多くの発見や不思議を見つけながらの、大変満ち足りた一日を過ごすことが出来ました。

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北海道・東大雪の旅Ⅲ

この美しい画像は「ぬかびらユースホステル」でお会いした同郷・横浜から見えたKさんから送っていただいた写真です。下記に出てくるタウシュベツ橋梁の夜の画像です。(ご承諾の上、掲載しています)

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北海道・東大雪の旅Ⅱ

さて三股山荘でゆっくりした後、帰り道に赴いたのは幌加(ほろか)温泉、その名も「鹿の谷」(かのや)です。ちょっと不安になるような雪道の先、着いたどん詰まりにありました。何台かの車も停まっていて営業中であることもわかりますが、なんとエゾジカがお出迎え! 本当に「鹿の谷」だ・・・。

(色々見た中で一番この温泉の雰囲気が感じられるサイトをリンクに貼りました。新しい情報ではありませんが、ご興味ある方はご覧ください。)

 

施設はかなり古くて、館内も私物含め色んなものが渾然一体と云う風ですが、とにかく500円払って温泉へ。

女性専用内風呂があるのですが、湯量のわりに湯船が狭いせいか熱すぎて入れません、そこで混浴の方へ。温泉は見事! 大きな三つの湯船は「ナトリューム泉」「カルシューム泉」「鉄鉱泉」でそれぞれ色も成分も異なります。若いカップル一組がいましたが、露天風呂(硫黄泉)もわりと大きく、向こうとこっちでお二人の邪魔をすることもなくゆっくりと浸かることができました。泉質の違うホンモノの湯量豊富な源泉かけ流し温泉にて至福のひととき♥ (宿泊もやっているようですが、自炊とのこと。)

ゆでダコのようになって「さあ、帰ろう」と玄関を出ようとすると、例のシカ達、頭数を増やし行く手をはばむように陣取っています。車のキーを出そうとポケットに手をやるとヌ〜ッと首を伸ばしてくる(汗)迫力満点です。

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北海道・東大雪の旅Ⅰ

恒例になった厳冬期の「大人の休日パス」利用での北海道訪問。今回は道央、帯広・十勝地方の北、山で言うと東大雪方面に向かいました。順を追って旅のことを記していきます。

 

折しも関東地方に南岸低気圧が通り首都圏にもかなりの積雪、都市機能にダメージを受け、その後も記録的な寒気団が居座り積もった雪も融けないという有様。日本海側は猛烈な吹雪に連日見舞われている時期です。

 

が、北海道は広く、道央の十勝地方には天気予報でも晴れマークが続いていました。丸一日かけて帯広まで無事辿り着き、翌朝からはレンタカーにて目的の東大雪、まずは糠平湖(ぬかびらこ)に向かいます。十勝平野は写真の通り雪も眩しいほどですが、油断大敵。実は向かっていく先は遠くに見える山のその又向こう、つまり吹雪いていて見えない中が目的地だったのです。

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早春 北海道の旅 最終章

早朝の大沼からのぞんだ駒ケ岳です。朝日が差し込んできて裾野の樹林帯が、春の芽吹き前の枝先の色と朝日の色合いとが相まって桃色に変化していました。この息を呑むような美しい光景のなかに居ることが出来た、それだけで大沼公園に宿泊した甲斐がありました。しかも行き掛けに新聞配達の人に出会った以外は誰も居らず、貸し切り、独り占めです。沼面に鏡になってシンメトリーの駒ケ岳が見られたのも、この早朝のひとときだけでした。

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早春 北海道の旅 その4

 

本来なら中札内周辺で集中して描こうと考えていましたが、靄った山を前に潔く帯広を後にしました。

 

気象情報で天気図と雨雲の動きを調べると、帰路で向かう函館方面も悪くなさそうです。度重なる北海道訪問の際、必ずと言っていいほど繰り返し使う函館本線。その車窓には毎回、美しい駒ケ岳が見え隠れしていましたが、通過するばかりで実際に現場に降り立ったことは一度もありませんでした。そこで、北海道新幹線の始発駅に近い「大沼公園」に向かい、駒ケ岳が見えるかどうか、“勝負”を賭けてみることにしました。

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早春 北海道の旅 その3

明けて翌日、道路の石碑写真が出ていると言うことは・・・。そうです、山は雲のなか。中札内周辺には雨雲も通り過ぎ全くスケッチは期待できない天候です。前夜の考えでは、もっと南下して坂本直行が描いた構図に近い場所に向かうつもりでしたので、朝食後、取り敢えず出発しました。

 

北海道は広いですが、渋滞もないし道もいいのでそれなりに走ればそれなりに距離が稼げます。気づけば考えていた地点にあっさりと到達しています。でも山は雲の中。

ここでアッサリと頭を切り替え、一気に襟裳岬まで行ってしまうことにしました。観光に変更です。歌で有名なえりも岬、一度は行ってみたいと思っていました。ちょうどいい機会です。

写真はそのえりも岬に向かう十勝港(広尾町)以南、海岸際を走る道の起点にあった石碑です。空は怪しげな雲が一面に広がり、海も不思議な色合いです。

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早春 北海道の旅 その2

北海道に入り、いよいよ本格的行動開始。帯広からレンタカーを借りて南下していきました。だんだんと求めていたような景観になりつつも、今ひとつ山が遠くて自分にとっては“その気”になりきれない雰囲気です。後に知ったことですが、この時期もっと雪がたっぷりで真っ白の景観は北十勝(帯広より北)に向かわないとダメだったようで、今回のあたふたと計画した訪問はミスったか……と肩を落としました。が、それでも窓外の雄大な景色はそれだけで魅力的。せっかく天候にも恵まれた滞在初日です。精力的に訪ねたかった「観光地」を巡りながら、描きたい構図に出会えるよう車を走らせました。

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早春 北海道の旅 その1

ここ一年少しの間に「大人の休日パス」利用で度々、北海道へ行っていました。今回はその北海道新幹線開業一周年によるパス発売にて、再び雪解けが始まっているであろう道東を目指して出かけてきました。

 

目的は開拓農民の山岳画家として有名な坂本直行の絵の世界を求めて、十勝方面・中札内(なかさつない)に向かいました。坂本直行の絵は、北海道帯広銘菓「六花亭」の包み紙のきれいな山野草の絵柄でご存知の方も多いと思います。

 

中札内にはその六花亭コレクションの直行や相原求一郎と云った山の絵の美術館がありますが、開館は残念ながらゴールデン・ウィークを待たないといけません。こちらは実際の山並みを求め画材を背負っての訪問、まずは第一日目、帯広まで向かいます。

 

北海道内に入るとあちらこちらに開業一周年のお祝いムードの飾り付けが目に入り、微笑ましい「作品」もありました。まずは写真にて道内に入った雰囲気をご紹介します。

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北の大地から 最終章

さて北海道の最終日、釧路からは「特急おおぞら」を利用して乗換駅の南千歳まで10分ほどの遅れで到着。しかし待ち合わせの列車も日本海側からの風雪の影響で遅れ気味でした。

窓外の景色も、今晴れていたかと思うと急にこのように真っ白な吹雪となり、広い北海道を走り抜ける列車の厳しい環境を体験します。

 

しかし北海道新幹線もあり、新函館北斗まで辿り着き夕方の便に乗車すればその日の内に東京に到着、都会のダイヤなら深夜になっても帰宅可能です。とは言え、雪などでの遅れの可能性も考慮して余裕をもった計画だったのですが・・・。

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北の大地へ その5

根室での充実した一日を過ごした後は、釧路に向かいました。「大人の休日パス」を目一杯使う為に一気に帰浜せず、釧路湿原を訪ねて行くことにしたのです。

 

その為に始発の「花咲線」に乗るべく、まだ暗い根室駅に向かいました。すでに列車は入線していて車内はポカポカに暖まっています。こうして定刻どおりの運行をするために、厳寒の雪のなか、どれほどの人たちが深夜から作業に当たっているのか…。今回の旅でもそうしたことを考えずにはいられません。

 

根室5:50発の各停列車も、停まる駅ごとに次第に仕事の人や学生たちをどんどん乗せて、後半は立っている人もいるほど。道北・稚内周辺の宗谷本線の殆ど人の乗降のない各停とは、ちょっと様子が違っていました。

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北の大地へ その4

納沙布岬の後、オホーツク海側を通って一端根室市内を抜けてから向かったのは「春国岱(しゅんくにたい)ネイチャーセンター」です。

この写真は春国岱の砂州=野付に敷かれた木道を歩いている時のものです。こんな真冬の時期にここを歩く人は稀でしょうが、数日前?の人間の足跡が残されている木道を行くと、雪原にはシカ、キツネと言った野生動物の足跡が残るのみです。スケッチをしながら向こうのアカマツの林まで取り敢えず行けるところまで歩くことにしました。

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北の大地へ その3

今回の北海道最東端訪問のメインの日は、根室市内からレンタカーで半島を一周し、その後は風蓮湖(ふうれんこ)と春国岱(しゅんくにたい)ネイチャーセンターを訪ねることにしていました。

 

まず訪ねた最東端の納沙布岬は冬期で殆ど人も居ませんでしたが、晴れた青空と水平線の境には意外な近さで歯舞諸島が真っ白に連なっているのが見えます。北方領土に関する歴史や資料展示をしている「北方館」は開館中でしばらくビデオ上映を見たり、二階に設置されている驚くほど性能のいい双眼鏡で‘北方領土’を見ました。北海道の知床半島が見えるより手前に(根室半島と知床半島に挟まれるような状態で)国後島が横たわっているのが見え、「近い」という以上の地理的位置を実感しました。

 

ともあれ当日は風は強いものの島が見える好天、誰もいない納沙布岬を燈台まで散策したり、「四島(しま)のかけ橋」と言う巨大モニュメントを間近に見上げたり、東の端っこを‘独り占め’してきました。「四島のかけ橋」は返還実現への堅い決意を象徴するため建立され、その下には「祈りの火」が返還実現の日を願い「北方館」開館時間に合わせ燃え続けているとのことです。

 

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北の大地 閑話

ちょうど2月1日付東京新聞夕刊の文化欄に「橋をめぐる物語」(中野京子)という連載で『北海道 自然の厳しさ』という表題が目に留まりました。

内容は北海道北部内陸の山間、三毛別(さんげべつ)六線沢(現・三渓)で起きた日本獣害史上最大の惨事と言われる羆事件を取り扱った吉村 昭の『熊嵐(くまあらし)』についてでした。

 

普段からあまり小説は読まないのですが、その中で吉村 昭は別格でその文庫本は本棚に少々並んでいます。中でもこの『熊嵐』は印象的な(恐怖!)一冊で実際にあった開拓民を襲った羆のことは忘れられませんでした。

 

改めて新潮文庫に掲載されている倉本 聰の「あとがき」を読んでみれば「北海道の美しさと凄みはその自然のもつ残酷さに常に裏打ちされていると思う…」とあります。自分の都合のいい時、天候の良いタイミング、ほんの僅かな日数、観光地域を中心とした束の間の訪問・・・そうした北海道旅行しかしていない私には到底分からない‘凄み’や‘残酷さ’です。

 

それでも訪ねたからこそ感じられることもあるはずです。そして時にはこうして一冊の本が、旅する自分に想像を補ってなにがしかを考えさせてくれるものになったりします。実際、北海道を訪ねる時には常に羆(山の世界では「山オヤジ」と呼ぶ)の存在が頭から離れることはなく、同時にこの『熊嵐』が脳裏をかすめ続けるのです。

(写真は根室本線車窓から撮った漂う氷結した海の氷です。海の際の白い凸凹は海岸線の防波堤=テトラポット)

北の大地へ その2

さて旅の二日目、これは昼時に散策した折に撮った、氷結した釧路川です。いよいよこの釧路から今回の目的地、根室にむかうべく「花咲線」(根室本線の釧路から根室間の通称)の旅の始まりです。昼に接続のいい「快速ノサップ」がありましたが、敢えてその後の各停普通列車に乗車しました、根室着16:00。事前に資料をいろいろ送ってもらったり、電話での問い合わせに親切に対応してくれた根室観光協会(駅前)に立寄り挨拶してから宿に向かいました。

今ではネットで何でも調べられます。が、登山でも林道の状況など管轄の役所に電話すると信頼性が高く且つプラスαの生きた情報がもらえることが多々あるように、私は初めて訪ねる場所では地元の観光協会をフル活用させてもらいます。ネットで掲載されているものとは質の異なる情報が得られるだけでなく、たいてい心あたたまる対応で一気にその土地に行きたいモードが高まります。

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北の大地へ その1

再びの「大人の休日パス」で北海道の旅に行って来ました。昨年の台風10号被害で十勝地方が甚大な被害を受け、前回はまだ道央を通る石勝線が不通でした。しかし12月22日に開通し「特急おおぞら」が釧路まで走るようになり、今回は根室までの旅を計画しました。ようやく根室本線に乗れます。

 

これから数回にわたり、その根室本線の鉄旅と北海道の大自然にまつわるささやかな旅日記を記していきたいと思います。

(写真は北海道新幹線で東京駅から一気に新函館北斗駅までやって来た後、在来線「特急スーパー北斗」車窓から見える駒ケ岳の姿です。車窓からは山の姿が刻一刻と変化していき、それはすばらしい「劇場」空間を楽しめます。)

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最北端への旅 最終章

これは稚内から旭川に向かう特急車窓から写した一枚です。(サロベツ川??)まだ厳冬期前ですが、川が白く凍っています。こうした景色は年明けの1月、2月に訪れないと出会えないと思っていました。今年の冬は殊の外早い降雪そして根雪で、降雪量の多さに地元の生活は厳しいものになるでしょう。そんなことを考えながらも、やはり旅人の目には美しく感じるのも正直なところです。

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最北端への旅 その5

鉄道の話ばかりでしたが、やっと山が登場です。稚内に到着し宗谷岬に行った翌日、終日現地で過ごせるたった一日、この日に天気の照準を合わせて来ましたが、それが幸運にもピッタリとなりました。レンタカーを借りてノシャップ岬方面に向かいました。岬を西側に回り込んで、昨日鉄道の車窓から見たサロベツ原野の日本海際の道路を走れば、もしかして利尻富士が見えるかもしれない…と云う希望を抱いて遥々やってきたのですが、見事、写真のような美しい利尻岳の姿を目にすることができました。午前中はそれでも頭を雲の中に隠しなかなか全容が現れなかったのですが、昼休憩を挟んで「ノシャップ寒流水族館」から出てきてふと日本海側を見ると、な・なんと! きれいな三角錐が見通せるではありませんか!!

 

午前中に引き続き、車を停められる場所を必死に探し、夢中になって利尻岳のスケッチをしました。レンタカーのおかげで強風や極寒を避け描くことが出来ましたが、狭い車内での制作で翌日は無理な姿勢と自重を支え続けたおかげで、足腰がひどい筋肉痛になっていました。絵に夢中になると他のことを忘れてしまう為、後になって「しまった…」となります。

 

けれど、夢にまで見た美しい利尻富士を奇跡的に見ることができ、心の中で手を合わせて感謝しつつ描いていました。初めて訪ねた北の最果てで、地元の人でも山頂まで見ることが珍しい利尻岳を、しかも雪化粧の美しい姿を描くことができ、本当に幸運な一日でした。翌々日からは30mを越えるような暴風雪がひかえていたのです。

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最北端への旅 その4

6時間に渡る宗谷本線の旅も昼に終着の稚内駅に到着し終了。ちっとも長く感じず、正直もっと乗っていたかったほどでした。午後からは晴れ間がのぞく天気になっていましたし、日本の最北端「宗谷岬」に行ってみることにしました。稚内駅前からお得な往復バス券が販売されていました。「宗谷岬」までは片道50分の道のりですが、その路線バス自体がなんと時刻表で2時間40分も費やす超長い距離を走り通すもので、それだけで北海道の広さを感じます。

到着した宗谷岬、上の写真はまさに日本の最北端を示すモニュメントです。晴れ渡っていればすぐ目の前にサハリンがくっきりと見えるそうです。オホーツクからの強風が吹きつけていましたが、駐車場からモニュメントまでの周辺はきちんと除雪されていました。

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最北端への旅 その3

さて「豊清水」でかなりの時間を過ごした後、動き出した列車。乗客は地元の人一人と乗り鉄のお兄さんと私だけで、まさしくJR北海道の厳しい現実を肌で感じるのですが、それでもやはり列車を待っている人もいます。

 

長いこと停車した「豊清水」の次の次、無人駅「咲来・さっくる」で大荷物を背負ったバックパッカーが乗車してきました。聞けば野宿をしながら歩いて回っているとのこと。その人は私に「どうして遅れたんですか?」と尋ねてきました。誰もいない無人駅で、どうして列車は来ないのだろう…とずっと待っていたはずです。

そして遅延の為に予定していた「音威子府」での停車時間がなくなり、食糧補給も叶わず「朝食を仕入れることが出来なくなりました」とも。山での縦走で、ちょっとした美味しい食材をもらったりすると嬉しくもありがたい経験がある私は、手持ちの“お菓子パック”からチョコビスケットとナッツ・バーの行動食を差し出しました。多少の足しにはなったかな?です。このバックパックの人は「問寒別・といかんべつ」という何もない駅で下車しました。再び雪の道を単独、歩いて行くのです。ご本人曰く、出身地は関東だが今は北海道に住んでいて夏はバイクで、冬はこうして徒歩でウロツイているのですと。北の大地では、こうした「強者」が時折居るとのこと、同乗の乗り鉄お兄さんが語っていました。鉄道もスゴイけれど、そこに生きている人もまたスゴイと驚きです。

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最北端への旅 その2

朝まだ暗い内に旭川駅に雪を踏みしめて向かいます。下り稚内まで通しで行く列車は一日三本のみ、各駅停車で終点稚内まで走るのは6:02発の一本のみで他二本は特急や快速です。

 

5時半には駅に到着し入線時刻前にホームで待っていると2両編成のワンマン車両が入ってきました。「キハ40 1712」と書かれた車両に乗り込みますが、こちらは名寄(なよろ)までの運行で切り離されてしまいます。宗谷本線もご多分に漏れず朝の各停は学生の通学列車であり、それも名寄まで。あとは稚内終点まで、当日は乗り鉄の男性一人と私、そして途中乗車・下車のバックパッカー1名と地元の人2名、ほぼそれだけでした。これがJR北海道の現実です。いくら広大な北海道の旅には鉄道がいいと言ったところで、それは生涯に数度しか乗ることのない気まぐれな旅行者の言い分です。

 

これからの6時間近くに及ぶ宗谷本線の旅も、そうしたJR北海道の抱える厳しい現実と、それでもその中で頑張って日々鉄道の安全運行に尽力している“鉄道マン”達の、厳しい自然や老朽化との闘いを間近に見る旅でもありました。

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最北端への旅 その1

少々間の空いてしまった「つれづれ」でした。今日からしばらく、北海道の旅を語っていきたいと思います。

今回もまたJR東日本の「大人の休日パス」利用の旅です。「寒い冬には北に行け」という諺に従い北海道の最北端に向かいました。目的は宗谷本線乗車です。横浜から鉄道利用なので始発に乗っても初日に行けるのは旭川までです。

青函トンネルを抜けると雪は降ったりやんだりでしたが、窓外も薄暗くなる頃にはしっかりとした降雪に変わっていました。11月終わりから12月始めにかけての雪が根雪になることは珍しいそうですが、訪問時の道央はすでに雪世界と化していました。

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北海道の旅Ⅳ

北海道の旅の最終章を再びこの「はまなす」で飾れる幸運に恵まれるとは思っていませんでした。事前に切符購入で「みどりの窓口」に行った折、ダメ元で帰路の札幌〜青森間の「はまなす」空席を聞いてみました。あっさり「ありますよ」。しかもB寝台が残っているとのこと! 天にも昇る思いでした。

 

それはさておき、斜里岳の麓「清里町駅」から乗車した四日目、日中の釧網本線「快速しれとこ」、これぞ北海道鉄道の旅!といった素晴らしいものでした。釧路湿原の中に敷かれたレールの上を走る車両は、外から見ても絵になるでしょう。車窓からは何処までも拡がる北海道特有の景観を楽しめ、うっとりとします。

そして釧路から札幌まではスピード感ある「スーパーおおぞら」にて、それでも4時間の移動。札幌に着くと気持ちは「はまなす」入線時刻に向かいそわそわです。もうこれで生涯において、ブルートレイン寝台車の乗り納めです。待つこと漸く、21:38にゴーーーっという迫力ある重低音のエンジン音を響かせながらDD51がやってきました!

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北海道の旅Ⅲ

斜里岳の麓、清里町での一日=移動日でなく滞在できる貴重な一日は、ペンションのオーナーのお勧めで「宇宙展望台」に向かいました。除雪してある所まで送ってもらい、そこからはレンタルのスノーシューにて展望台まで登っていきます。本来なら正面に大きく斜里岳が見えるはずですが生憎山は雲の中。やむなく雪原風景を描いていると雪が舞い始め、傘を差しながら尚も描いていると横から降りつける雪がドンドン積もり始めました。一瞬にしての天候急変。慌てて片付け下りれば展望台下に置いてあったスノーシューも雪に埋もれ始めています。

 

で、除雪してある道路にやっとこさ出たら、あれま!青空ものぞいています。雲や風の動きでコロコロ天気が変化…。

(写真中央に小さく見えるのが展望台のヤグラです)

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北海道の旅Ⅱ

暗くなる前に駅まで戻ろうと16時頃に「北のアルプ美術館」を失礼し雪道を歩き出しました。空は夕刻に向かい淡い桃色に染まりだし、振り返れば生クリームをもっこり盛ったような純白の海別岳が雑然とした町の向こうに、この世のものとは思えない美しさで在るのです。息を呑むような神々しさ… ほとんど車も来ない車道の真ん中に立ち止まっては、思わず小さな画帳に描きます。

 

もっと見える所があるはず!もうすぐ夕闇になってしまう!と心は急くばかり。何度も何度も振り返りつつ駅に向かい必死で小走りし、駅手前に線路をまたぐ高架橋を見つけました。駆け上るとやはりそこからが一番よく海別岳だけでなく斜里岳もよく見えます! 

手元が見えなくなるまでスケッチしていると、辺りはもう真っ暗。白い山もぼんやりとして、もう形がつかめなくなっています。やむなく駅に戻り「本当に美しかったなー」と感慨に耽りつつ、冷えきった身体を暖かい駅舎の待合室で温まりながら夕刻の鈍行列車を待ちました。今夜の宿は清里町、斜里岳の麓にあるペンションです。

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北海道の旅Ⅰ

過去にも登場したJR東日本の「大人の休日パス」ですが、冬期間(今回は1/21〜2/2)を利用して五日間の北海道の旅に行ってきました。日頃の雑用の山で中々一歩を踏み出せないでいるところ、山岳会の先輩方から『北の国には冬に行け、南の国には夏に行け』という欧州の諺がある…とご自分の体験も踏まえて背中を押して頂き出掛けてきました。

 

すべて鉄道利用で青森までは新幹線で移動しても、あとは在来線の乗り継ぎです。今回の目的の知床斜里にある「北のアルプ美術館」までは往路で二日間費やしてやっとたどり着きます。そして帰路にまた二日間必要で、中日一日を斜里岳の麓で過ごしました。

写真は函館〜札幌に向かう「スーパー北斗6号」の車窓から見た駒ケ岳です。北海道に入ると青い空になりました。)

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夜行急行

最近はニュースなどで次々と姿を消す寝台特急が取り上げられ、そうするともう決してその寝台券は取れないほどの‘競争’になります。その影で静かに毎晩本州の青森と北海道の札幌を結び走っている夜行急行があります。

まだ今なら寝台券が手に入るかも…ということで、例の「大人の休日パス」を利用しての計画。間際まで日程が調整できず、ギリギリの二日前に「みどりの窓口」へ出向き空席を尋ねたのがどうも良かったのかもしれません。最後の一枚(キャンセル分だったのか?)が取れました。

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北斗星

これは上野駅到着時の上り「北斗星」の先頭車両EF510の星マークです。

あと10日ちょっとに迫ったダイヤ改正で、このブルートレインの寝台特急の定期運行も終わりとなります。

「あけぼの」に続き又一つ、列車の旅が失われます。

特に鉄道に詳しい訳ではありませんが、昔から列車に乗るのは好きでした。今はなき千葉の国鉄木原線や三保の松原の清水港線などを何故か乗り歩いていました。のどかな車内では宴会を始める「老人クラブ」の乗客や車掌と話し込む地元のおばさんなどのスケッチをしてのんびりと一日の鉄道旅を楽しんでいました。

 

ブルートレインは昭和生まれの人間なら誰しも、何とも言えぬ郷愁を抱くと思いますが、老朽化は如何ともし難いようです。そして世の中は「新幹線」が走り巡りどこでも数時間で到着する時代になりつつあります。高速化・利便化で人の流れもそれなりに変わるでしょう。

 

が、地域の活性化の為に何が一番有効かと言えば「鉄道を各駅に停めること」と鉄道関係の方(名前失念)の言がありました。人は新幹線が来れば地元が活性化すると喜びますが、それは点と点の話で、すべてが帰着する東京集中にますます拍車がかかるだけではないか…というのです。線をつなぎ、人の暮らす「面」をつないで行くものは、私たちが排除していっている‘ローカルな’各駅停車の路線なのかもしれません。