初めての山を再訪

お手本のような富士山の姿ですが、これは伊豆の付け根、三津長浜(みとながはま)を眼下にしての眺めです。

 

「長浜」バス停すぐ脇からみかん畑の中を登っていく発端丈山(ほったんじょうさん)という変わった名前の山を訪ねました。

 

それは私が初めの山登りをした山で、学生時代ワンゲルに入っていたという後輩に連れてきてもらいました。東海道線の沼津駅からバスに揺られて漁港に到着。何もかもが初めてだった当時は、交通機関も地元の生活や風土も頭に入る余裕などなく、ただみかん畑の急登を一生懸命登り、時折振り返ると駿河湾の向こうに見える富士山が印象的だった思い出ばかりでした。

続きを読む

氷柱まつりと和紙

 

「二月は逃げる」そのままに過ぎていきそうです。風が強かった二月上旬、山登りではなく散策観光で秩父まで出かける機会がありました。

 

西武秩父線の芦ヶ久保駅に隣接している「道の駅果樹公園あしがくぼ」の駐車場が利用でき、氷柱見物には200円の環境整備協力金を払いますが、上の茶屋でおいしい甘酒ややぶきた茶で作った紅茶を振る舞ってくれます。寒さを利用し、山の斜面に水の放水パイプを配置して造られた氷柱の造形ですが、それなりに楽しめました。何より、こうした自然の寒さや地形を活かして地元の活性化につなげようとする、その頑張りが感じられ、甘酒コーナーのおばちゃん達や薪ストーブ用の薪割りを一生懸命している若者、火の番をしているおじさん等などの姿が印象的でした。ここまでの氷柱を作るのには事前の準備が相当大変だったと思います。この芦ヶ久保を含めた「秩父三大氷柱」が、真冬の観光客の集客に一役も二役もかっている様子で、小規模ながら何処かの何かのように「ハコモノ」に頼らない地元パワーが頼もしく感じられました。

 

続きを読む

富山三山制覇…!

ホームの扉にアップした富山(とみさん)の絵を描いたのが昨年の二月。その時山頂から臨んだ伊予ヶ岳には今年…、という具合に南房総にある「富山三山」を‘完登’しました。(伊予ヶ岳の南東にある御殿山から大日山は先月にピストンをして登っていました=1月「つれづれ」の『新年は千葉の山』)

千葉の山はアプローチがなかなか大変なのですが、幸いにも千葉在住の山仲間が車を出してくれ帰路には道の駅などの寄り道もでき、ありがたい一日プランとなります。

さて概して低山がウネウネと連なる千葉の山、ご多分に漏れずこの伊予ヶ岳も330m強しかない山ですが、侮るなかれ! 山頂直下は切りたった岩峰となっていて、最後の登りではちょっとした岩登り気分を楽しめます。そして千葉の山のなかで「岳」という文字が付くのは、この伊予ヶ岳だけだそうです。

続きを読む

北の大地から 最終章

さて北海道の最終日、釧路からは「特急おおぞら」を利用して乗換駅の南千歳まで10分ほどの遅れで到着。しかし待ち合わせの列車も日本海側からの風雪の影響で遅れ気味でした。

窓外の景色も、今晴れていたかと思うと急にこのように真っ白な吹雪となり、広い北海道を走り抜ける列車の厳しい環境を体験します。

 

しかし北海道新幹線もあり、新函館北斗まで辿り着き夕方の便に乗車すればその日の内に東京に到着、都会のダイヤなら深夜になっても帰宅可能です。とは言え、雪などでの遅れの可能性も考慮して余裕をもった計画だったのですが・・・。

続きを読む

北の大地へ その5

根室での充実した一日を過ごした後は、釧路に向かいました。「大人の休日パス」を目一杯使う為に一気に帰浜せず、釧路湿原を訪ねて行くことにしたのです。

 

その為に始発の「花咲線」に乗るべく、まだ暗い根室駅に向かいました。すでに列車は入線していて車内はポカポカに暖まっています。こうして定刻どおりの運行をするために、厳寒の雪のなか、どれほどの人たちが深夜から作業に当たっているのか…。今回の旅でもそうしたことを考えずにはいられません。

 

根室5:50発の各停列車も、停まる駅ごとに次第に仕事の人や学生たちをどんどん乗せて、後半は立っている人もいるほど。道北・稚内周辺の宗谷本線の殆ど人の乗降のない各停とは、ちょっと様子が違っていました。

続きを読む

北の大地へ その4

納沙布岬の後、オホーツク海側を通って一端根室市内を抜けてから向かったのは「春国岱(しゅんくにたい)ネイチャーセンター」です。

この写真は春国岱の砂州=野付に敷かれた木道を歩いている時のものです。こんな真冬の時期にここを歩く人は稀でしょうが、数日前?の人間の足跡が残されている木道を行くと、雪原にはシカ、キツネと言った野生動物の足跡が残るのみです。スケッチをしながら向こうのアカマツの林まで取り敢えず行けるところまで歩くことにしました。

続きを読む

北の大地へ その3

今回の北海道最東端訪問のメインの日は、根室市内からレンタカーで半島を一周し、その後は風蓮湖(ふうれんこ)と春国岱(しゅんくにたい)ネイチャーセンターを訪ねることにしていました。

 

まず訪ねた最東端の納沙布岬は冬期で殆ど人も居ませんでしたが、晴れた青空と水平線の境には意外な近さで歯舞諸島が真っ白に連なっているのが見えます。北方領土に関する歴史や資料展示をしている「北方館」は開館中でしばらくビデオ上映を見たり、二階に設置されている驚くほど性能のいい双眼鏡で‘北方領土’を見ました。北海道の知床半島が見えるより手前に(根室半島と知床半島に挟まれるような状態で)国後島が横たわっているのが見え、「近い」という以上の地理的位置を実感しました。

 

ともあれ当日は風は強いものの島が見える好天、誰もいない納沙布岬を燈台まで散策したり、「四島(しま)のかけ橋」と言う巨大モニュメントを間近に見上げたり、東の端っこを‘独り占め’してきました。「四島のかけ橋」は返還実現への堅い決意を象徴するため建立され、その下には「祈りの火」が返還実現の日を願い「北方館」開館時間に合わせ燃え続けているとのことです。

 

続きを読む

北の大地 閑話

ちょうど2月1日付東京新聞夕刊の文化欄に「橋をめぐる物語」(中野京子)という連載で『北海道 自然の厳しさ』という表題が目に留まりました。

内容は北海道北部内陸の山間、三毛別(さんげべつ)六線沢(現・三渓)で起きた日本獣害史上最大の惨事と言われる羆事件を取り扱った吉村 昭の『熊嵐(くまあらし)』についてでした。

 

普段からあまり小説は読まないのですが、その中で吉村 昭は別格でその文庫本は本棚に少々並んでいます。中でもこの『熊嵐』は印象的な(恐怖!)一冊で実際にあった開拓民を襲った羆のことは忘れられませんでした。

 

改めて新潮文庫に掲載されている倉本 聰の「あとがき」を読んでみれば「北海道の美しさと凄みはその自然のもつ残酷さに常に裏打ちされていると思う…」とあります。自分の都合のいい時、天候の良いタイミング、ほんの僅かな日数、観光地域を中心とした束の間の訪問・・・そうした北海道旅行しかしていない私には到底分からない‘凄み’や‘残酷さ’です。

 

それでも訪ねたからこそ感じられることもあるはずです。そして時にはこうして一冊の本が、旅する自分に想像を補ってなにがしかを考えさせてくれるものになったりします。実際、北海道を訪ねる時には常に羆(山の世界では「山オヤジ」と呼ぶ)の存在が頭から離れることはなく、同時にこの『熊嵐』が脳裏をかすめ続けるのです。

(写真は根室本線車窓から撮った漂う氷結した海の氷です。海の際の白い凸凹は海岸線の防波堤=テトラポット)

北の大地へ その2

さて旅の二日目、これは昼時に散策した折に撮った、氷結した釧路川です。いよいよこの釧路から今回の目的地、根室にむかうべく「花咲線」(根室本線の釧路から根室間の通称)の旅の始まりです。昼に接続のいい「快速ノサップ」がありましたが、敢えてその後の各停普通列車に乗車しました、根室着16:00。事前に資料をいろいろ送ってもらったり、電話での問い合わせに親切に対応してくれた根室観光協会(駅前)に立寄り挨拶してから宿に向かいました。

今ではネットで何でも調べられます。が、登山でも林道の状況など管轄の役所に電話すると信頼性が高く且つプラスαの生きた情報がもらえることが多々あるように、私は初めて訪ねる場所では地元の観光協会をフル活用させてもらいます。ネットで掲載されているものとは質の異なる情報が得られるだけでなく、たいてい心あたたまる対応で一気にその土地に行きたいモードが高まります。

続きを読む