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小正月

白山書房の『山の本』のご縁で知合ったHさんからは、毎年自家製の色とりどりのお豆さんをいただきます。小正月に合わせて小豆を煮て半分は先日のお汁粉に、そして今日は小豆粥を炊きました。

 

粥椀と汁椀は共に輪島塗の職人で友人でもある須田麻美さんと清水さん作の漆器です。麻美さんとの出会いは、造形作家の友人の展示会手伝いで大阪梅田に行った時の会場ででした。落ち着いた何の飾り気もない、本来の漆器の美しさが生きた作品です。そして真価はその使い勝手のよさで、手に馴染み食材を運んだときの口元の触感のよさ、温か味です。人の持つ触感にまつわる精度の高さを引き出してくれる器・作品だと感じます。

 

一般の食器に比べると決して安価ではありませんが、毎日必ず汁とご飯で使うことを考えると高くはありません。しかも不具合が生じれば作家本人が修繕してくれ、蘇るのです。


そして冬の寒さのなかでは、これら漆器椀の「威力」が最大限に発揮されます。中味が熱くても持つ手には優しく且つ食材は冷めにくいのです。ご飯が最後の一粒まで冷え切らずに頂けるという話を聞いたことがありますが、まさにそうした器です。

弱点は乾燥に弱いことですが、冬場の異常乾燥が続く南関東でも毎日使い水で洗うことで防げるそうで、漆器は使うこと=メンテナンスとのこと! 日本の気候風土に適した器なのですね。