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種差海岸 東北の旅三

 青森の八戸からJR八戸線で「鮫」という駅まで行くと、そこからの海岸線は「みちのくトレイル」としても整備されていて多くの人が散策を楽しめるようになっています。以前、山の会の東北支部の方から「海抜ゼロで高山植物が見られる所があるんだよ」と聞いていましたが、それがこの種差海岸でした。

 話だけの時にはにわかに意味が分からずにいましたが、初めてこの地を訪れ、波打ち際の岩場付近に高山というより山野草の類の花々が咲いているのを実際目にして感動しました。当日は幸運にも好天でしたが、前日には風雨激しく海岸線を走る三陸鉄道北リアス線が不通になっていたほどです。そうした厳しい自然条件の下で健気に咲く花々。

 好天でも打ち寄せる波のエネルギーは凄まじく、散策路に座り込んでスケッチしていても、波が盛り上がり海全体が覆いかぶさるような迫力で恐怖すら感じました。ましてこれが厳冬期であれば・・・、想像を絶する凄まじさでしょう。だからこそ海抜ゼロで山で見る花が見られる訳ですが、みな背の低いまま頑張って花をつけています。それを見つめてスケッチしていて、まるでこの花たちはあの震災後にも余計なことを言わず頑張って生きている東北の人たちのようだ…と感じました。(下の写真はクリックすると大きく見えます。)