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富士と面する

前日の天気予報では晴れマークだったところが急に強い寒波襲来で雪マークに。朝、車を出発させたその車中でもまだ行く先定まらずで、同乗の山友さんと頭を絞っていました。で、高速を西か東(北)か…インターを入ったところで西へ舵を切り今日の目的地を御坂山塊と決定しました。

 このキワドイ選択が大当たり。登ったのは雪頭ヶ岳から鬼ヶ岩、そして鍵掛峠から西湖に下るという周回コースでしたが、朝一番の登りでは5℃を切る気温のなかでも少々汗ばむくらいのアルバイト、そして振り返れば正面に富士山が広く裾野を広げていました。眼下には西湖が輝いていましたが、この光景も数時間とはもちませんでした。

富士山を正面に見る雪頭ヶ岳には昼前に到着し、とりあえず早めのお弁当にしましたが、そうこうしている内に雪炎を吹き上げていた富士山に雲がまとわりつき、もう山頂は見えなくなりました。みるみる山の天候は変化します。

 

場所を移して鬼ヶ岩山頂、写真の岩は「鬼の角」です。

その向こうに見えているのが険悪な岩場の続く山ですが、この日のスケッチはこの鬼ヶ岩の角にてその十二ヶ岳を描きました。スケッチが終了すれば、下山開始。

それからは鍵掛峠までロープも所々にあるちょっとスリリングなアップダウンの稜線歩きですが、所々に大きなブナの倒木が目につきます。私が昔よく歩いていた丹沢の稜線の光景が思い出されました。御坂でも自然林にはシカの食痕が目につき、立ち枯れや途中から折れるように倒れているブナの大木を見るにつけ、この山も声なき‘悲鳴’を上げているような気がしてなりませんでした。