再び、五葉山へ

五葉山は岩手県の三陸沿岸部の最高峰(1351m)の山です。周りにはさほど高い山がないので、独立峰のように見えます。海から13kmほどしか離れておらず、山頂からは美しい三陸のリアス式海岸が望めます。

 

2009年、山の仲間達と登り、山頂付近にある「しゃくなげ荘」(避難小屋)に泊まり山頂から靄にかすむ海岸線をスケッチしました。まさかその沿岸が2011年3月11日に津波に襲われるとは想像すらしていませんでした。あれから5年少し、東北の被災地を公共交通機関で辿る旅をしながら、この山に再びやってきました。

 

山頂からは、被災前と変わらぬ美しい三陸の海岸線が見渡せました。その美しさが逆になんとも言えない、悲しいような気持ちを揺り起こします。今回は地名も位置関係もおおよそ把握できる視点で海岸線を見下ろしスケッチをしました。遠く遠く水平線に浮かぶ小さな三角錐が仙台沖の金華山であることも知りました。大船渡の港を中心に、山頂から南に伸びる稜線の山まで横長三枚連続にスケッチし、終始北西から吹き付ける風で体温も低下、終了としました。

今回はJR気仙沼線で沿岸部に出て、そこからは線路が破壊された痕をバスレーンに造り変えたBRT(バス高速輸送システム)に乗り替え、専用レーンのほか被災地の町中も細々と走りながら大船渡に向かいました。車窓からの景色は、一言「五年たっていてもこの状態か…」でした。宿泊した大船渡湾の周辺でも道路すらまだ出来ておらず寸断状態、復興している所もあるのでしょうが、今回のBRTの旅では通常の生活にはまだ程遠いという思いが先行しました。

 

それでも、事前に探して泊まった宿は先月新築開館したてのホヤホヤだったらしく、玄関ホールにはたくさんの胡蝶蘭がお祝いに所狭しと飾られていました。山行や旅の時には、できるだけ地元の店や宿を探して利用するように心がけていますが、特に東北ではそうした気持ちを強く持ちます。自分一人だけが何かしても…と思わずに、なるべく積極的に動くことが大切だと思います。