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湖畔を歩く

 

立秋過ぎて、関東は連日猛烈な暑さとなっています。場所によっては体温より高い気温。子供の頃には考えられなかったような気温が普通となり、異常な暑さのあとのは30℃の数字が「涼しく」感じられるのですから、驚きです。

 

さて、そんな暑さからちょっと逃れ日光の中禅寺湖まででかけました。さすがに下界よりは涼しいですが、この日は風もかなりあったせいで湖はちょっとした波打ち際のようにさざなみ立ち、散策路の森から突然、海に飛び出したような錯覚に陥りました。

(左の奥に写っている山は男体山です。)

 

名所の「竜頭の滝」上の赤沼駐車場からは小田代原経由で千手ヶ浜へ、日光自然博物館から委託された低公害バスが運行されています。普段、山に登っていると素通りしている千手ヶ浜の奥にある「西の湖」に、このバスを利用して行ってみることにしました。

 

まさに森林浴といった感じの小径を歩き、吊橋を渡って辿り着いた西の湖。手前の森からかなり離れた遠くに青い水が見えますが、思ったより随分小さめです。水辺に近づいて行ってみれば、地面がひび割れ状態。これは渇水状態であることに気付きました。何度もここを訪れている人には、水位が極端に少ない状態とすぐわかるでしょうが、初めての訪問者にはうろついてみてようやくその現実に気付かされます。今年の雨の少なさが顕著に見て取れるのでした。地元新聞社の「下野新聞」記者も渇水の湖を取材に来ていました。

 

この日は、森の中の何万本?もの木にテープのような紐が螺旋状に巻かれているのも目にしました。これはシカの樹皮食いから木を守る為のものです。紐はトウモロコシ由来の素材を使用してあるので、後々には自然分解するとのことでしたが、見渡す限りの樹木に巻きつける作業を考えると気が遠くなるようでした。

 

雨の少なさ、冬の雪の少なさ、シカの食圧などなど、多くの観光客が訪れる日光ですが、一見美しく均衡を保っているような自然も、少し自分の足で歩くとさまざまな変化や状況に気づくことができます。