南の島 その2

屋久島と言えば「縄文杉」です。その樹齢は数千年(4000年以上?)だそうで、縄文杉に出会う為に屋久島を訪れる人も多いようです。屋久島では樹齢1000年以上のものだけが「屋久杉」と呼ばれ、それ以下の杉は小杉なんだそうです。気の遠くなるようなスケール! 私たち人間はコワッパみたいなもんです。

 

初日の朝「淀川(よどごう)登山口」にタクシーで向かう途中にあった「紀元杉」、運転手さんの紹介で一時降りて見学しました。この紀元杉は木の直ぐ側を巡れるように巡回路が作られていて、手が届きそうなところにそびえ立っています。「縄文杉」の前知識しかなかったので、朝一番にこの巨大な屋久杉と至近距離で出会い、もう一発で「ノックアウト」状態。物凄い迫力、もうこれは木ではない…木以上のなにものかです。もちろん人間なんぞかないません。山を歩き始める前に、すでにこの出会い・・・これから入山する先が一体どういうことになるのか…人の持つ時間軸を遥かに越えた時の流れを内包するこの山、島、木々たちに、期待というより畏敬の気持ちが自分の裡に湧いているのを感じました。

 

屋久島の山は花崗岩で成り立っています。なので登山道は全体白っぽく、靴底もザラザラした感触であまり汚れません。丹沢の沢であれば、当然すべる苔のついた濡れた岩も、うまく足を運べばまず滑りません。この岩が標高が上がるにつれて巨岩の連なりとなり、時には不思議なモニュメントとして現れます。

 

写真のように岩のなかに白く大きな四角い石英が閉じ込められているのも屋久島の花崗岩の特徴だそうで、中には手の指を広げたほどの長さのものもありました。風化した花崗岩のあとに残されたこの無数の石英が、登山道にタイル模様のように散りばめられているのは大層きれいでした。

これは登山口から1時間ほど登ったところにある「淀川小屋」の裏手にある美しい川です。木々の色を映した深い色合いであるのに、どこまでも透き通っています。清冽な流れというのとは趣きの異なる、ちょっと違う世界に足を踏み入れたような神秘的な美しさでした。

 

今回の目的の宮之浦岳は「日本百名山」の一つということもあるのか、メインルートの登山道はとても整備されています。淀川小屋から“小杉”の深い森を順調に高度を上げ、地図で調べて楽しみにしていた高層湿原の「花之江河(はなのえごう)」に到着。しかし天候が今ひとつ、強風で上空の雲が物凄い勢いで流され、霧が生き物のように当たりを隠したり消えたりしています。風をよけて湿原の隅でお昼にしました。花之江河という美しい名前の湿原も多雨多湿で緯度の低い南の島にあっては、天候同様、今ひとつの雰囲気でした。