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伊豆の山 登尾・のぼりお

これは天城峠南にある登尾という山の山頂からの写真です。(遠くに見えるのが天城山の万三郎岳) 私がまだ山に登り始めた20年以上前には名前を知っている人も多くはなかったと思われますが、その後「分県登山ガイドー静岡県の山」にも載るようになり、以降いっときはそこそこ人が入っていたようです。冬枯れの好天の一日、天城峠近くの二階滝(にかいだる)駐車場に車を置き歩き始めました。同行は道なき山の達人I 氏です。

こういう渋い?山好みの私は、昔からずっと行ってみたい山の一つでしたが・・・。

 

一時間ほど寒天林道を標高を稼ぎながら歩いて行くと沢に橋がかかった登山口に到着。ここから植林帯をしばらく登ると新山峠に着きます。ここまでは問題なし、そして尾根通しに登尾の山頂に向かうのですが、踏み跡も怪しくなりテープを目印に行くようになります。それでも迷うことなく山頂まではたどり着けるのですが、大きなレンズ状の上を行くが如くの地形で、しかも樹林が切れず展望が芳しくありません。冬枯れの今の季節なので時折、白い富士山が垣間見えたり、南アの白い山稜がチラリと見えたり…でもそれも束の間。殆ど展望は期待できない山です。

という事で山頂にたどり着いたものの、地形図にある南西尾根を下る計画のため余裕を見て休憩なし、早々に下山に取り掛かりました。案の定、どこをどう歩いても同じような広々した南西斜面でルートも少々あやふやでした。(初心者や山慣れない人は山頂からそのまま往路を引き返すピストンが賢明でしょう。)

写真は絵地図ガイドにあった見事な「ブナの巨木」です。これのおかげで位置確認出来たので「お助けブナ」でありました。尾根筋には古いテープが所々にあるものの、複数の人が自分のルート用につけているので当てになるようなならないような…。特別危険だったり厳しい箇所はなかったのですが、だだっ広い尾根でひさびさ緊張を要するルートファインディングの下りでした。急降下後、植林の伐採作業現場に出て、その付近の林道と出合ったのが昼をかなり回った時分でした。ここでようやく一安心、お昼のお弁当としました。どんな山も侮れないという思いを改めて強くし、そして展望もなく絵も描けずに終わった山であるのに、ひどく印象深く感じました。ずっと登りたかった登尾。パッとしたところが何もないのに、これが山登りの魅力の不思議さです。