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早春 北海道の旅 その3

明けて翌日、道路の石碑写真が出ていると言うことは・・・。そうです、山は雲のなか。中札内周辺には雨雲も通り過ぎ全くスケッチは期待できない天候です。前夜の考えでは、もっと南下して坂本直行が描いた構図に近い場所に向かうつもりでしたので、朝食後、取り敢えず出発しました。

 

北海道は広いですが、渋滞もないし道もいいのでそれなりに走ればそれなりに距離が稼げます。気づけば考えていた地点にあっさりと到達しています。でも山は雲の中。

ここでアッサリと頭を切り替え、一気に襟裳岬まで行ってしまうことにしました。観光に変更です。歌で有名なえりも岬、一度は行ってみたいと思っていました。ちょうどいい機会です。

写真はそのえりも岬に向かう十勝港(広尾町)以南、海岸際を走る道の起点にあった石碑です。空は怪しげな雲が一面に広がり、海も不思議な色合いです。

 

その黄金道路を走っていると、海岸線に大勢の人が出ているのに気づきました。浅瀬で昆布を採っているようです。しかし物凄い風が吹付け、運転していても気をつけないとハンドルをとられるほどです。

こんな強風のなか……と不思議に思っていました。が、えりも岬の土産物屋のおばちゃんが「強風で昆布が打ち寄せられるからね〜」と話すのを聞いて納得しました。それにしても過酷な仕事です。春が近づいているとは言え海水はまだ冷たいでしょうし、とにかく立っているのがやっとのほどの風です。

いろいろなコンブ漁があるようですが、このようにしてとる昆布もあるのだと初めて知りました。

えりも岬の最先端方面です。展望が良いと、日高山脈がこの岬に向かってなだれ落ちているように見えると云う話を聞いていました。残念ながらその山並みは終日厚い雲の中でしたが、岬一帯遥かに拡がる松林と草原はよく見えました。

 

かつて明治の開拓以降、砂漠化してしまった土地、そこから強風や降水で運ばれた土砂により海も環境悪化、生業の海産物が失われるほどになったそうです。昭和28年に岬の緑化事業が始まり長年、多くの人手と労苦の上に、荒涼とした岬がクロマツ林に覆われ漁場も回復したとのことで、植林は今でも継続して行われているそうです。

 

岬には大正天皇御製の「吹きすさぶ海風に耐へし黒松を永年(ながとし)かけて人ら育てぬ」という歌碑がありました。また『風の館』という施設の資料展示に、あまりの強風で根付かなかった種に昆布を覆って飛散を防いだ写真がありましたが、それを「えりも方式」と言ったそうです。観光気分でやってきた襟裳岬でしたが、途中出会ったコンブ漁や展示の説明を見て、やはり実際足を運んでよかったと思いました。