早春 北海道の旅 最終章

早朝の大沼からのぞんだ駒ケ岳です。朝日が差し込んできて裾野の樹林帯が、春の芽吹き前の枝先の色と朝日の色合いとが相まって桃色に変化していました。この息を呑むような美しい光景のなかに居ることが出来た、それだけで大沼公園に宿泊した甲斐がありました。しかも行き掛けに新聞配達の人に出会った以外は誰も居らず、貸し切り、独り占めです。沼面に鏡になってシンメトリーの駒ケ岳が見られたのも、この早朝のひとときだけでした。

食事前の2時間ほど、観光客も誰も居ない大沼公園で過ごしました。前日、森駅から描いたのとは随分ちがう姿の駒ケ岳も描くことができました。横に長いのっぺりした山容は捉えどころがなく難しいと思っていましたが、やはり描いてみないとわからないこと、見えないものがたくさんありました。向こう側、そしてこちら側と駒ケ岳の姿を回って見つめることができたことを心から良かったと感じました。

 

食事後はたった一人の滞在者の為に丁寧にお世話してくれた民宿を早めに発ち、観光協会でもらったガイド地図を参考に、まずは静かな「小沼」散策に出かけました。

 

大沼からのような駒ケ岳の姿は望めないものの、樹林と沼とが程よく入りくんだ環境は、すぐ脇にJRの鉄道や観光バスが走るような道路のある場所であることを忘れさせるほど、心落ち着く自然度の高さでした。散策路をゆっくり歩きながら充分に楽しんだ後は、再び大沼に戻りました。

 と、ちょうど大沼の入り口当たりに着くとアナウンスで「観光船がもうすぐ出ま〜す」と言っています。まったくそんな観光をする予定はありませんでしたが、まさに「渡りに船?」切符を求めて乗り込みました。ルンルンの観光気分で40分ほどの遊覧を愉しみましたが、これが一つ拾い物。手前の小さな島々が邪魔をしていて駒ケ岳の裾野と沼との際がどうなっているのか、スケッチのときによく見えず困っていたのですが、すっきりと“解決”! なるほど〜…とじっくり見る時間がとれました。

 

そうして下船後、再びスケッチ時間を取り、大沼のワカサギの佃煮や名物二色団子などを求めて、そしてここでもちゃんとソフトクリームを食べて、もう思い残すことはないと云う気分になって北海道を後にしたのでした。