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北海道・東大雪の旅Ⅰ

恒例になった厳冬期の「大人の休日パス」利用での北海道訪問。今回は道央、帯広・十勝地方の北、山で言うと東大雪方面に向かいました。順を追って旅のことを記していきます。

 

折しも関東地方に南岸低気圧が通り首都圏にもかなりの積雪、都市機能にダメージを受け、その後も記録的な寒気団が居座り積もった雪も融けないという有様。日本海側は猛烈な吹雪に連日見舞われている時期です。

 

が、北海道は広く、道央の十勝地方には天気予報でも晴れマークが続いていました。丸一日かけて帯広まで無事辿り着き、翌朝からはレンタカーにて目的の東大雪、まずは糠平湖(ぬかびらこ)に向かいます。十勝平野は写真の通り雪も眩しいほどですが、油断大敵。実は向かっていく先は遠くに見える山のその又向こう、つまり吹雪いていて見えない中が目的地だったのです。

だんだんと山あいに入るにつれ雰囲気が変わってきました。着いた「ぬかびら温泉郷」はまだ平穏でしたが、除雪された国道273号(冬期でも三国峠を越えて層雲峡や旭川に抜けられる)を走っていくと風によって吹き飛ばされた雪が激しく巻いて、道そのものが生きているようにうごめいて見えるのです。

 

こうして厳冬期の北海道の厳しさのなか、真白き山を描きたい!と云う思いも初っ端から打ちのめされ、とにかく描きたいと云う気持ちだけでウロウロと当てもなく車を走らせました。

この日は先で何かあったらしく層雲峡への通り抜けが通行止めになっていました。途中で引き返しスケッチの場所を探すだけの私にとっては、申し訳なく思いつつも、通り抜け不可となって極端に車が少なくなった国道は逆に助かりました。

 

その通行止めの告知の為に氷点下の寒風のなか、地元のお巡りさんがたまにやって来る車を停めては説明を。私は途中で引き返す旨を伝えると「三股まで行くとあったかいもん食べられるから。ミツマタ山荘に行くといいよ」と教えてくれました。「なんだろう?ミツマタサンソウ?」とよく分からないままに進みます。そして取り敢えず安全な場所に車を横付け出来ると、かろうじて見える山を描いていました。

 

さて昼時、走る途中全く何もないなか、雪に埋もれて見落としそうになるほど密やかに2・3軒の家がありました。「ムムッ!これがもしかしてミツマタサンソウか!?」

果たして「三股山荘 営業中」と。まるで地獄に仏?、まったくの雪のなかにポツネンと在るのです。

 

お巡りさんに感謝です。そしてここでの食事は地産地消のまさに北海道ならではのおいしさ溢れるもので、突然“遭遇”した夢のような場所でした。食事だけではなく、経営している娘さんの温かさと気さくさ、そのお母さんとの会話も居心地よく、まさにログハウスの山荘は旅人のオアシスそのものでした。