大月の権現山から用竹へ

中央沿線、藤野や上野原周辺の山が好きでよく歩きますが、その時必ずと言っていいほど山座同定で目立つのが、大月の北から東に向かって長く延びる権現山から雨降山、そして用竹集落に向かって下る長い稜線です。

遠目からも鉄塔が目立つ雨降山から先は黒っぽい植林帯に覆われて、およそ食指が動かない雰囲気ですが、一度くらいはその稜線を通しで歩いておこうかな…と思っていました。

 

こうした、どうと云うこともないけれど、長年の「懸案」というか「宿題?」みたいになっている所というのが誰しも幾つか(いくつも)あるもので、年齢的なことも含め考えると一つひとつ気になっている山に出かけるのには早すぎる筈もないのです。

(写真は大月から乗車した「浅川」行のバスを終点で下車し、見上げた稜線。すでに新緑に包まれています。)

浅川行きのバスは休日ということもあり、座りきれない登山者を乗せて浅川集落を登りつめたどん詰まりに到着。大勢の人は浅川峠までひと登りすると殆ど反対側の百蔵山に行ってしまいました。なるほど、バスの登山者は南側の百蔵山に登り富士山の展望を楽しんだらそのまま中央本線・猿橋駅に下るのだ、と気づきました。

 

それでも数人は権現山に向かう人も居り、山頂では別の登山道からやって来る人も何組か。さすがに好天の休日、暑い位の日当たりの山頂でランチタイムを過ごす人たちで明るい雰囲気に満ちていました。私も軽い昼食後、春霞んだ北方面を一枚スケッチ。尾根を幾つも引き雄大さも感じる山は三頭山でした。この近さ、この構図で眺めるのは初めてです。背に富士山を控えて、三頭山を描き終わると下山開始です。

 

山頂直下の大ムレ権現社から先の稜線は秀逸。新緑ちょっと手前の淡い緑と、咲き残りの山桜やミツバツツジが色を添える美しい色の世界を進んでいきます。その色を引き立てるのは水蒸気の多い薄青さとエメラルドグリーンにグラデーションする背景となる向こうの山肌です。“色と心中したくなる”そんな稜線歩き・・・。

しかしそれも雨降山までです。鉄塔が近づくと周辺は手の入っていない暗い植林帯となりました。で、あとは想像通り、休みたいと思わせるような場所など一箇所もない稜線で完全な「消化試合」となっていました。しかもそんな所を歩くのは当然誰もおらず「物好きな自分」に呆れます。

 

で、ズンズンと下るしかなく休憩もせず、気づいてみたら随分と早い時間に用竹バス停に着いていました。おまけに予想だにしていなかった「臨時バス」が突然やってきてトントン拍子に中央線車中の人。長いこと思っていたルートのわりに、感慨に浸るヒマもなく最後はあっけなく帰途に着いてしまいました。(ひと休みしようとバス停ベンチにザックから様々なものを出してお店を広げ、さあ!とパンをかじろうとした矢先に突然やって来たのです。慌てたのなんの!)