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国立科学博物館

 

以前、友人からもらった上野の国立科学博物館の招待券の期限が今月末だったことを思い出し、企画展の「天皇陛下の御研究と皇居の生きものたち」を見に出かけました。

 

久しぶりの上野、春休みの好天で子供連れや外国人観光客も含め大変な混雑。館内のあまりの人混みにどうしたものかと思いつつ取り敢えず企画展の場所まで行けば、そこだけは人の出入りはそこそこあるものの、地味めな?展示内容のせいか、じっくり静かに見ることができました。

 

都心のど真ん中にある空間=皇居=にこれほどの生きものがいるのか、という単純な驚きと同時に、数年前に大規模墓地工事で豊かな自然が失われてしまった神奈川県西部の渋沢丘陵のことを考えずにはいられませんでした。

 

さて興味深かったものの一つに、皇居内の地衣類の種類が調査年代で4倍に増加している事を示す展示がありました。第Ⅰ期調査が1996年4月〜2000年3月で、その時には4種しか見つからなかったものが、第Ⅱ期調査の2009年4月〜2014年3月には16種と俄然増えているのです。

第Ⅰ期と第Ⅱ期の調査の間に東京都下でのディーゼルエンジン規制が行われるなど、大気中の汚染が改善されたことがその影響を受けやすい地衣類に如実に反映されたようです。

 

 

 

また皇居内にはタヌキが数頭住みついているらしく、しかもそれらのタヌキは皇居内で食料を調達し外にはほぼ出歩いていない、という発信機を付けた調査も展示されていました。食べ物については採取した糞の中にどういったもの(色々な種子や動物の毛など)が含まれているかで分かるのですが、それを天皇自らが行われたとのこと。タヌキの溜め糞は山でもよく出あいますが、ちょっとあまり近寄りたくないような匂いですし、それだけで「オ〜ッ!」と感動でありました。

 

写真は丸々と太った皇居のタヌキです。以前横浜市内でも見かけたことがありますが、それは疥癬病(かいせんびょう)にかかり毛が抜けきった、大変哀れで痛々しい姿のタヌキでした。でも皇居のはまさに「ぽんぽこタヌキ」、タヌキらしい姿です。

 

 

 

先にも書きましたが、自然が大切と言いながら自治体始め各所での施策はそれと逆行するようなものが何と多いのかと思います。巷でも昨今は隙間なくと言えるほど建造物が建て込められ、工事のための工事なのか?とも感じたりします。参考までに大規模墓地建設による(東京ドーム約4.5個分の自然豊かな谷戸を崩して埋めて15000基の墓を造成)神奈川県西部・渋沢丘陵の惨憺たる姿もリンクを貼っておきますので、ご覧いただけたらと思います。