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道東の旅1 釧路へ

 

 

今回から数回に分けて「道東の旅シリーズ」をお伝えしたいと思います。

 

何度目になるか…、恒例の「大人の休日パス」利用での北海道入り。今回も始発の北海道新幹線「はやぶさ1号」で道内に入りましたが、一番の驚きはいくら北に向かっていっても雪深い景色にならないことでした。

 

<写真は道内に入ってからの車窓からの景色 白くなく、秋のような草が拡がり川や池も凍結していません>

今回の旅の目的はまず知床斜里に行き「北のアルプ美術館」を訪ねること、そして天気に恵まれることを祈りつつ斜里岳のスケッチです。

2016年に斜里岳を描きたくて訪ねた時には生憎、ずっと山頂が雲に隠れて描くことができませんでした。

今回の拍子抜けするような雪のほとんどない好天の北海道。もしかしたら山はよく見えるのでは? 期待はふくらむのでした。

 

そして一日目に釧路入りした翌日は、知床斜里に向かう釧網本線に乗車する前の半日を利用し、根室本線の「花咲線」にて根室まで乗り鉄ピストンを企てました。

<写真は釧路駅出発前の花咲線>

ところが、せっかく釧路〜根室間を往復しようと意気揚々出発したものの、全体の3分の1にも満たない厚岸(あっけし)駅で乗った車両はストップ。なんとその先にて線路破断が起き、しばらくは(1〜2時間?)運休とのこと。

 

突然の事で呆然、しかし根室まで用事がある訳ではない乗り鉄の私などは気楽ですが、困ったことにこのまま釧路に戻ったとしても、乗継列車の連絡まで4時間近く浮いてしまいます。そしてもっと困ったことに、釧路市内ではスケッチしたい場所がほぼ皆無ということでした。

 

とても悲しい状態になってしまった半日。渋々釧路へ戻り、駅から歩いてウロツケる範囲を“偵察”しつつ、それでも以前は気づかなかった古本屋さんを見つけたりして、何かと小さな発見をしつつ“空白”の半日をやり繰りしました。

<釧路市内、高台の公園まで上がり幣前橋(ぬさまえばし)周辺を俯瞰してみた>

※谷地坊主:釧路湿原のものが有名。かつては開墾の邪魔ものだったが、いまでは天然記念物に指定されているところもあり、観光資源になっている。谷地坊主はスゲ属植物が密な株をつくることと、凍結による土壌の隆起や雪解け水による根元の浸食作用があわさってできるとされ、ドーム状、ときには酒徳利を逆さにしたような盛り上がった株が作られる。釧路湿原ではカブスゲが作るヤチボウズが多い。また谷地坊主は春の芽吹きの頃が、前年の葉が枯れて髪の毛のように残り、新葉もそれほど茂っていないので見頃といえる。(勝山輝夫「自然科学のとびら」より)

 

春先が見頃と言うことですが、今回の北海道ではまるで秋の景色というより雪解け後のような状態で、思いがけずに花咲線沿線や釧網本線沿線(釧路湿原)で谷地坊主が延々とつづく光景を目にすることができたようです。今までは雪の下に隠れていたので気づきませんでした。しかし、こんなことがあって本当にヒトの生活は大丈夫なのか?と心配になります。