初めての山を再訪

お手本のような富士山の姿ですが、これは伊豆の付け根、三津長浜(みとながはま)を眼下にしての眺めです。

 

「長浜」バス停すぐ脇からみかん畑の中を登っていく発端丈山(ほったんじょうさん)という変わった名前の山を訪ねました。

 

それは私が初めの山登りをした山で、学生時代ワンゲルに入っていたという後輩に連れてきてもらいました。東海道線の沼津駅からバスに揺られて漁港に到着。何もかもが初めてだった当時は、交通機関も地元の生活や風土も頭に入る余裕などなく、ただみかん畑の急登を一生懸命登り、時折振り返ると駿河湾の向こうに見える富士山が印象的だった思い出ばかりでした。

ところが今回の再訪までの年月で山の風情はがらりと変化していました。当時まだ植えたばかりだったスギ・ヒノキの苗木が立派な木に成長していて、あの時の思い出であった景色が、急登が始まると一欠片も見えないのです。久しぶりに訪れた山ではよくあることですが、‘初めての山’の変わりようにはすっかり肩を落としてしまいました。

 

途中に二箇所ほど「見晴台」「展望台」とした眺望を得られる場所がありましたが、あとはすべて山頂までの“おあずけ”です。

たしかにその分、山頂での感激もひとしおですが、何となくこの山は思い出のままに取っておいた方がよかったような…複雑な気分でもありました。登山口のみかん畑で作業中の地元の方から「足元にきをつけてね〜!」と挨拶をもらえたのが、今回の山でのささやかな思い出です。