日向舟から棚ノ入山

4月8日開始を控え「個展の準備で忙しいでしょう」と言われますが四六時中ずっとやっている訳ではなく、この一ヶ月のなかで大方出品作品の額装も整い、あとは細かな作業が残っているだけです。会期前日には大小合わせて100点越えの作品の自車への積み込み・運搬、そして搬入・飾付けがあり、いよいよ始まりとなりますが、その前に山歩きをして“英気を養いに”行きました。

 

行先は長年行きたいと思っていて空白になっていた、山梨県秋山村のはずれ、無生野(むしょうの)の雛鶴峠から登ったところにある日向舟という山です。こうした静かで地味めな山が昔から好きだったのです。写真はこの日、一番見晴のよかった日向舟手前の当たりから、霞んで見えませんが滝子山方向を見ています。左下の白い施設はリニア実験線。

ところで山に向かう道すがら、秋山村から都留に抜ける県道35号を走っている途中、ちょうどアオゲラキャンプ場近くで「オオーッ!」と思わず車を止めました。

 

モウモウと煙を上げ、今だ元気に「営業中!」=大感激の驚きです。ここは2008年今から11年も前、二十六夜山に来た時にも煙を派手に上げていて「何だろう?」と立ち寄ったのでした。煙の正体はカマドにくべた薪、火をおこし巨大なセイロでまんじゅうを蒸していたのです。店の入り口には大きく花を飾り、前と変わらずに「王の入まんじゅう」を作っていました。お土産に注文したのは言うまでもありません。

 

さて雛鶴峠から日向舟に向かい、そこから更に棚ノ入山(たんのいりやま・地図には「サンショ平」と表示も)に向かいました。登っても下り、また登りの繰り返しで累計標高差はかなりだったでしょう。

 

着いた棚ノ入山は、昔そこでスケッチをした見晴しは全くなく、植林されたヒノキが成長しかろうじて正面の赤鞍ヶ岳が垣間見えるだけ。十年以上たっていた訳で様子も変わります。

(写真は懐かしの二十六夜山)

 

 

変わると言えば、稜線の倒木の多さ、その惨憺たる状況でした。おそらく昨年の暴風台風24号の被害でしょう。稜線近くの特に赤松が壊滅的。まるでゴジラが歩いたあとみたいになっていて痛々しかったです。

しかしあんなヒドイ台風も、おそらくこれからは珍しくなく頻繁にやってくるでしょう。温暖化と言われて久しいですが、取り返しのつかない自然破壊をした上で、且つ莫大な電力を消耗し無駄に速いばかりのリニア中央新幹線を走らせるようなことが果たして必要なのか?と、倒木を障害物競走のようにかわしながら足下の実験線の轟音を聞きつつ下山しました。