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遠かった竪破山・たつわれやま

個展の事後処理が一段落すると同時に季刊誌『山の本』(白山書房)冬号の挿絵描きが始まりました。その挿絵、事前に編集部からゲラをもらい文章を読んでから、時には色々悩み考え作画します。その中で紀行文・山行記には見知らぬ山も多く出てきます。

 

以前、その一つに「竪破山・たつわれやま」と言うのがあり、興味を抱いたまま忘れていたのですが、ちょうど夕方から始まるという月食にも掛けて、見通しの良さそうな茨城県のその山に出かけることにしました。遠いわりには、コースタイム1時間半という小山で、息抜きの山歩きのはずでした。

<写真は伐採地から見た竪破山>

順調に常磐道から登山口目的近くの花貫渓谷までやってきましたが、後から考えればそれがそもそもの間違い。持参したガイドブックが古いもので、まったく逆の南西から入らねばならなかったのです。集落の中を散々行ったり来たりうろつき、放し飼いの犬に行く手を阻まれたり、工事中で立ち往生したり、そんなんで軽く1時間はロス。

 

しかし諦めずに、ここだろう!という道を見つけ出しどんどん進めば「本当に大丈夫だろうか?」という激しくダートな林道になり、それでもガイドブックでは「四輪駆動ならばこの林道経由も可」と。車幅しかない道幅を車体両側面はヘアラインの傷音をキーキー言わせ、脇は今にも崩れそうなボロボロの山肌、普通なら車体の腹を擦るほどのダートさ。超不安なまま、行き着いても帰りも此処を戻るのは御免だな〜と思いつつ進みました。

 

長く感じましたが、実際は然程ではなかったかも…。根性で進んでいく先に、樹木越しに人工的な色(車)が見えた時には心底ホッとしました。

先客がいるじゃない…でも軽自動車、無理じゃない?

・・・とよく見れば、なーんの事はない。反対側からすごくいい舗装道が通じているではないですか…! ガイドの読解力、且つ下調べ不足を猛反省です。

 

駐車場は広々とし、立派なトイレまであります。力が抜けるとはこのことで、山を歩き始める前に疲れてしまいました。古い情報も間違ってはいなかったけれど、こんな失敗が後年、山より印象に残ること間違いなしです。

<写真は登山口の駐車場広場、トイレとベンチと紅葉と>